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在宅医療の最前線から vol.3 祐ホームクリニック 武藤真祐理事長・院長

投稿日:2011/07/19(火)

今回は、医療法人鉄祐会祐ホームクリニックの武藤真祐理事長・院長(以下、武藤院長)にお話しを伺った。
武藤院長は、2010年の1月から文京区で祐ホームクリニックを開業している。その他、医療界のリーダーを育てるNPO法人(ヘルスケアリリーダーシップ研究会)の設立、社会問題や取り組みに関して、日本の産学官の錚々たる方々と対談を重ねるなど、高い問題意識を持ち、様々な活動を行っている。
http://www.you-homeclinic.or.jp/Dr_muto/talk/





社会の役に立ちたいと思った。辿り着いたのが「在宅医療」だった。


社会問題に対し、様々な取り組みをしながら医師として活躍されている武藤院長は、実は元々「在宅医療」に携わることは考えていなかったようだ。
医師を志したのは6歳の時、野口英世のことを知り「私も困っている人を救うことに一生を捧げたい」と思ったことに遡り、東京大学医学部附属病院で循環器内科の医師として勤務した。 「病院で心臓カテーテル等最先端の医療技術を学んだことは、とても良い勉強になったと思います。」と語られた。
しかし、医師として10年程勤めた時に、「社会の役にたつにはどうしたら良いだろうか?」と考えるようになった。「病院で働く日々は本当にやりがいがありましたが、医療現場の同僚は疲弊し、眼の輝きを失っているように感じました。『何か、社会構造が間違っているのではないか。それを解決するには一度医療界から出て学び直すことが必要ではないか』と思い、問題解決の方法を学ぶために、2年と決めてマッキンゼーで働いたのです。
その後医療現場に戻る時、現在の日本の問題は何だろうと考え、それは少子高齢化問題だと思いました。」 それが、在宅医療に携わる最初のきっかけとなったようだ。


在宅医療の難しさ


日々在宅医療に取り組まれている武藤院長に、在宅医療の難しさとは何だと思われるかを伺った。大学病院で行われている第一線の医療と「在宅医療」は全く違うもののように見えたため、実際その2つを経験されている武藤院長がどのように考えているのか、非常に興味を持ったからである。
「在宅医療の課題は、大きく分けて2つあると思います。1つ目は、「在宅医療」が社会的に認知されていないということ。2つ目は、「在宅医療」を受けている患者さんにとって、医療はサービスの単なる一部だということです。」
1つ目の社会的に認知されていないというのは、患者や家族からの認知という意味でもあるし、医療従事者の認知が足りないという意味でもある。特に後者が深刻で、日本はまだ、在宅医療でどのような医療ができるか、きちんと理解している医療従事者が多くないようだ。
2つ目の「医療はサービスの一部である」というのは、例えば病院にいる患者に医療を提供するとき、医師は当然医療を提供する。しかし「家で過ごされている方にとっては、医療以外にも、家族のことや生活のことなど、御自身の健康に様々なことが絡んできます。人によって環境も異なり、様々な制限の中で医療を提供するわけですが、その中で、いかにベストなものを提供するか、ということがとても難しかったです。生活環境以外でも、在宅医療は看護師や介護士の方と連携することで初めて完成するわけですから、自分一人が頑張っても、絶対に最良のものにはなりません。」


「意識を変える」


「在宅医療をする上で、チームワークが大事になってくるのですが、まずは、医療従事者の意識を変えていきたいと思いました。」
この「意識を変える」とは、一体どのような意味であるか伺ったところ、 「祐ホームクリニックを始めたばかりの頃、うちは医師しかいませんでしたから、まだチームが成り立っていなかった。患者さんよりも先に、チームを集めなければ在宅医療が提供できませんので、訪問看護ステーションや介護ステーションに挨拶まわりをしました。その後徐々に連携をくんでくれる方が増えてきたのですが、そこで、業種間の距離を感じたんです。チームワークが大事なのに、何か距離を感じる。ケアマネジャーさんやヘルパーさんが医師に質問をしづらいといった状況が出てくるわけです。だから、僕はまず、顔が見える関係づくりを試みました。具体的には、毎月2回ずつ、年に24回の勉強会をやり続けました。」
それにより、訪問看護師やケアマネジャー、病院のソーシャルワーカーなど、定期的に30人程が顔を合わせるようになり、結果的に、チームとして連携する人も増えた。何より、業種間の精神的なハードルが低くなったことが一番良かったことのようだ。





これからの在宅緩和ケアについて


今後について伺ったところ、武藤院長は日本における高齢者の孤立化を防ぎたいと考えているようだ。 「高齢先進国モデル構想でも示しているように、日本の高齢化は世界で類をみない程の問題となっています。そこでは、都市部の高齢化は大変危機的であり、現在、高齢先進国モデル構想について、約40社の企業と検討を重ねています。また、このたびの東日本大震災で被災した石巻でも、在宅医療と生活支援の必要性を痛感し、その需要に応えるべく準備を進めています。」
社会の問題を解決したい、その想いを貫く武藤院長に、増々目が離せなくなりそうだ。

祐ホームクリニック





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2011年6月17日
取材:祐ホームクリニック 武藤真祐院長

<在宅医療の最前線から vol.3>

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